このサイトの記事は、AIエージェントに書かせています。自分がやっているのは、素材を渡すことと、公開の判断だけです。
そのやり方を始める前に、そもそも読まれている技術記事は何が違うのかを実地で調べました。結果、記事の書き方を全部作り直すことになりました。
前提: 内容はほとんど効いていない
最初に、身も蓋もない話をします。
Zenn・Qiitaの記事を大規模に集めて、いいね数が何で説明できるかを分解した分析があります。それによると、いちばん効いているのは著者の既存の信用でした。過去記事の平均いいね数と、フォロワー数。記事の内容そのものが説明できる分散は、Qiitaで約1割、Zennでは数%にとどまります。
つまり、「これを書けば伸びる」という話は、そもそも成立しにくい。
自分のサイトはさらに不利です。プラットフォームの外にあるので、著者の信用によるブーストが一切かかりません。 内容の質だけで勝負するしかない。
なので以下は「やれば伸びる法則」ではなく、**「伸びた記事が満たしていた条件」**として読んでください。
いちばんの発見: 人気記事に装飾画像が1枚もない
上位の記事を並べて、載っている画像を全部数えました。
フリー素材も、AI生成のイメージ画像も、装飾イラストも、1枚もありませんでした。
現れる画像は全部これです。
- アプリのスクリーンショット
- ターミナルの出力
- 管理画面のキャプチャ
- 収益やアクセス数のグラフ
つまり、画像はすべて「証拠」として使われています。 見出しの下に雰囲気の写真を置く、というよくある構成は、上位記事に存在しませんでした。
さらに言えば、画像が0枚で数千ブックマークされている記事も複数あります。 枚数を増やす必要はまったくない。
原則を「主張1つにつき証拠1枚」に決めました。装飾画像を入れると、むしろ「中身が無いから絵で埋めている」というシグナルになります。皮肉なことに、AI生成のアイキャッチを置くことが、いちばん強いAI臭の発生源です。
例外は収益・コスト系の記事で、冒頭に実データのグラフを1枚置くのは費用対効果が高い。読者がその記事を読む理由そのものが、その1枚だからです。
タイトルには数字が入っている
調べた上位19本のうち、13本のタイトルに具体的な数字が入っていました。
- 月20万円
- 14回リジェクト
- 初日50万アクセス、0円
- AI部下10人
型としてはこうです。
【属性ラベル】 + 具体数字 + 体験談マーカー
「体験談マーカー」は、「〜した話」「〜てみた」「全公開」のような語尾です。
そしてもう1つ、はっきりした傾向がありました。ネガティブなフックを隠さず前に出す。
「削除されました」「落ちた」「怒ってます」「やめた」。成功より失敗のほうが、タイトルに出る頻度が高い。 自分の記事のタイトルが失敗談だらけなのは、これを見たからです。
【】の使い方も決めました。【個人開発】【2026年版】のような属性ラベルにだけ使い、感情表現には使いません。 【衝撃】【必見】は、それ自体が読み飛ばしのトリガーになります。
「AIっぽい」と言われる文章の、具体的な特徴
ここがいちばん実用的でした。名指しされている信号を全部集めると、こうなります。
- 「本記事では〜について解説します」の反復
- 箇条書きが本文の大半を占め、地の文が薄い
- 見出しや文中のコロンの多用(「ポイント: 〜」)
- 「重要なのはバランスです」型の、中身のない締め
- 同じ内容の言い換えの反復
- 実際のコード・エラーメッセージ・実行結果が一切ない
最後の1行が本質です。
嫌われている理由は「AIが書いたこと」ではなく、「人間が検証していないこと」でした。
一般論だけで構成された記事は、書いたのが人間でも同じように読み飛ばされます。逆に、バージョン番号・日付・環境・実際に出たエラー文・自分の限界の明示があれば、生成に何を使っていようと「検証した人が書いた」記事になります。
だから自分の運用では、AIに書かせる部分と、そうでない部分をこう分けています。
AIがやる 素材の整理、構成、文章化
人間がやる 何が起きたかの提供、事実の確認、公開の判断
記事に出てくるエラーは全部、実際に踏んだものです。 そこを埋め合わせで作った瞬間に、この方法は成立しなくなります。
構成の目安
- 冒頭3行以内に、結論か、原体験のムカつきを置く。 「本記事では〜」は禁止
- 上位記事は8,000〜10,000字級で、見出しが20個以上。目次だけで全体が分かる粒度にする
- ただし、感情ドリブンの記事は1,200字でも拡散する。長さは目的で決まる
- 表は比較用途に2〜4個まで。乱用しない
- 締めに売り込みのCTAを置かない
最後のは意外でした。露骨なCTAで終わる記事は、相対的に伸びが悪い。定番はソフトなリンクと、続編の予告です。
テーマの優先順位
刺さっている順に並べるとこうなります。
- 実費・収益の全開示。 数字とグラフ1枚。コスト側の開示を必ず含めるのが効く
- 審査でハマった失敗談。 特に制度への怒りは共感で拡散する。プラットフォーム内のいいねは伸びなくても、ブックマークやSNSで伸びる
- AIエージェントを「チーム」として運用した実録
3つ目は自分のど真ん中なのですが、注意点があります。この種の記事が伸びる要因は、技術的な内容よりメタファーと予想外のエピソードでした。 「こう組めば動きます」ではなく、「AIエージェント2体が実機1台を奪い合って、片方がもう片方のテストを殺した」のほうが読まれます。
そしてもう1つ、逆風の情報も出てきました。Qiitaの公式データによると、「個人開発」×AIの記事は前年同期比15.5倍。 需要は急拡大していますが、供給はそれ以上に増えています。「AI社員の作り方」を解説するタイプの記事は、2026年時点で既に飽和していると見たほうがいい。
差別化できるのは、解説ではなく実録・実収益データ・継続のほうでした。
結局どうしたか
このサイトの記事は、ほぼ全部が失敗談です。課金が11日間壊れていた、自動投稿が19本消えていた、審査員がアプリを開けなかった、規約ページが全部404になっていた。
うまくいった話は書くことが少なく、しかも他人の役に立ちません。 失敗のほうには、必ず「なぜそれを事前に防げなかったか」という一般化できる構造があります。
このやり方が正しかったかは、数字が出てから答え合わせをします。この記事自体も、ここで書いた条件を全部満たすように書きました。 効かなければ、それも公開します。
実際にこの方針で書いた記事の例は、課金が11日間壊れていた話と自動投稿19本が1本も投稿されていなかった話です。収益化の条件を一次情報まで当たって調べた話はこちら。