アプリが完成しました。ストアに出せると思いました。
出せませんでした。
新規の個人デベロッパーアカウントには、製品版を公開する前に満たさなければならない条件があります。
12人のテスターが、14日間continuousにクローズドテストへ参加していること
「14日待てばいいのか」と思いました。違いました。 逆算したら、テスト開始から一般公開まで最短で29日かかることがわかりました。
逆算の実際
自分が実際に組んだスケジュールです。テスト開始日を D0 として書きます。
| 工程 | 所要 | 累計 |
|---|---|---|
| クローズドテスト(12人×14日) | 14日 | D0+14 |
| テスト終了後に寝かせる | 3日 | D0+17 |
| 製品版アクセス権の申請〜承認 | 7日 | D0+24 |
| ストア公開の審査 | 3〜5日 | D0+27〜29 |
つまり、テスターを集め終わってスタートを切った日から、一般公開まで1ヶ月弱です。
見落としやすいのは「+3日」
自分が最初に組んだ逆算は間違っていました。
「14日終わったら、すぐ製品版アクセスを申請すればいい」と考えて、D0+24〜26日 で計算していました。これだと実際より3日短く見積もることになります。
抜けていたのは、14日間のテスト期間が終わったあと、すぐには申請しないという運用です。3日ほど寝かせてから申請します。
なぜかというと、Googleの側で「14日間の継続参加」が集計されるのに時間差があるためです。終了直後に申請すると、条件を満たしていない扱いで差し戻される可能性があります。先にリリースした別のアプリで、この寝かせ期間を取っていたのに、次のアプリの計画から抜け落ちていました。
3日のズレは、締切がある時には致命的です。自分の場合、この訂正で「絶対に間に合う最終ラインは9月2日」だったはずの計画が、実務上の限界が8月27日に前倒しになりました。
いちばん危ない罠:内部テストはカウントされない
これが最大の落とし穴でした。
Google Playには複数のテストトラックがあります。
- 内部テスト(Internal testing)
- クローズドテスト(Closed testing)
- オープンテスト(Open testing)
自分は内部テストで動作確認をしていました。テスターも入れていました。順調だと思っていました。
内部テストは、12人×14日の要件のカウント対象に入りません。
要件を満たせるのはクローズドテストのトラックだけです。内部テストをどれだけ長く回しても、日数は1日も積み上がりません。
これに気づいた時、あるアプリにはクローズドテストのトラックがまだ作られてもいませんでした。 つまりD0がまだ始まってすらいない。「もう2週間テストしてるから、そろそろ公開できる」と思っていたのが、実際にはゼロ日目でした。
内部テストで動作確認をするのは正しいのですが、それは要件消化とは完全に別の話です。ここを混同すると、丸ごと2週間を失います。
そして本当にきついのは、12人を集めること
日数の話ばかり書きましたが、実務でいちばん重いのはここです。
個人開発者が、Androidを持っていて、Googleアカウントを教えてくれて、オプトインの手順を踏んでくれる人を12人集める——これが想像より遥かに難しい。
条件を分解するとこうなります。
- Android端末を持っている(iPhoneユーザーは対象外)
- Gmailアドレスを教えてくれる程度には信頼関係がある
- 送られたURLを開いて、オプトインの操作をしてくれる
- 14日間、テスターから抜けない
日本のスマートフォンはiPhoneのシェアが高いので、「友人に頼む」の時点で候補が大きく削られます。自分は最初、確定が2人でした。10人足りない状態からのスタートです。
さらに、テスターは「入れて終わり」ではありません。14日の途中で誰かがオプトアウトしたり、アカウントを整理したりすると、カウントが崩れます。だから12人ぴったりではなく、15人程度を目標にするのが現実的でした。
効いた一手:先にリリースしたアプリのテスターに声をかける
自分の場合、これが決定打でした。
2本目以降のアプリなら、前のアプリでテスターになってくれた人がいます。 この人たちは3つの条件をすでに満たしています。
- Android端末を持っていることが確定している
- Gmailアドレスがすでにわかっている
- オプトインの手順を一度経験している
3つ目が特に大きい。初めての人に手順を説明するコストがゼロになります。しかも別アプリなので、同時に複数のテストへ参加することに制約はありません。
タイミングも作れます。前のアプリの14日が満了する頃に声をかければ、「終わったので次もお願いします」という自然な流れになります。
1本目がいちばん苦しく、2本目からは楽になる——という構造でした。これから始める人は、1本目のテスター集めに一番時間を確保しておくべきだと思います。
テスターを頼むときの注意点
1つだけ、順番を間違えると相手に実害が出る箇所があります。
ライセンステストの登録を先に済ませてから、オプトインのURLを送ってください。
この登録を飛ばすと、テスターがアプリ内で購入操作をした時に実際に課金される可能性があります。動作確認をお願いしておいて実費を負担させるのは論外なので、ここは必ず順序を守ります。
まとめ
- クローズドテストのトラックでないとカウントされない。 内部テストは何日回してもゼロ日
- テスト終了から公開まで、さらに2週間近くかかる。 14日+3日+7日+3〜5日で、合計27〜29日
- 12人集めるのが本体。 日数より人集めのほうが難しい
- 2本目からは楽になる。 前のアプリのテスターに声をかけるのが最も確度が高い
リリース日から逆算するなら、公開したい日の1ヶ月前にはテスターが12人揃っていて、クローズドテストのトラックが作られている必要があります。締切のあるコンテストやキャンペーンに合わせるなら、さらに余裕を見てください。
自分はこの逆算を一度間違えて、3日分の余裕を失いました。同じ計算を先にやっておけば防げた話です。
ストア関連ではスクリーンショットの解像度要件で弾かれた話、リリースビルドでだけ落ちるクラッシュ3件も書いています。